発達障害の種類

発達障害にも障害者手帳(療育手帳)が支給される。障害者手帳の種類とメリット、取得方法は?

発達障害にも障害者手帳(療育手帳)が支給される。障害者手帳の種類とメリット、取得方法は?

我が家の息子は自閉症スペクトラムという発達障害を抱えています。発達障害というと、最近ではテレビでも取り上げられるくらいメジャーになってきました。

”障害”と名前がついてる通り、しっかりとした生活を送るためには、治療(療育)に通ってサポートしてあげることが必要です。

障害者の方には障害者手帳が配られますよね。障害の度合い(階級)によって変わりますが、税金の免除があったり、公共交通機関が無料になったりする手帳です。

実は、発達障害の人でも障害者手帳を受け取ることが可能です。手帳を持っていると、公共交通機関の料金だけではなく、保育料の補助もあるので手帳を持っていると少し負担が少なくなります。

今回は障害者手帳と、発達障害の人が受け取れる手帳の種類その申請の方法についてです。

障害者手帳には種類がある

障害者手帳の種類

一言で障害者手帳といっても、その手帳には大きく分けて3つの手帳種類があります。

  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳(知的障害者用手帳)
  • 精神障害者保健福祉手帳

の3つ。発達障害を抱えている人は、この中の2番目「療育手帳」を受け取ることができます。稀に発達障害を抱えている人の中に「精神障害者保健福祉手帳」を持っておられる方もいますが、これは精神的な障害がメインとなるものです。

療育手帳を取得すると、精神障害者保健福祉手帳に比べて手厚いサポートが受けられます。ただし、療育手帳を取得するにはIQの制限があります。

おおよそIQが75以下の方が取得できる手帳なので、発達障害を抱えていたとしてもIQが70以上になると手帳を返還しなければいけません。息子も6歳になった時の検査でIQが普通よりも高かったので療育手帳を返還しました。

身体障害者手帳とは

身体障害者手帳は、身体に障害を抱えている方が対象となり、就学・就労など日常生活を支援したり、自立させることが目的で支給されるものです。

身体障害者手帳には1級〜6級までの等級があり、数字が小さいほど障害が重度であることを示しています。また、この等級に関しては2つの疾病が重複することで認められるケースもあります。

法律 身体障害者福祉法
対象疾患 視覚・聴覚・平衡機能・音声・言語・そしゃく、肢体(上肢、下肢、体幹)不自由、心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう又は直腸、小腸、免疫(ヒト免疫不全)、肝臓
取得条件 疾病によって障害が永続し、生活動作が不自由であること。

療育手帳とは

療育手帳制度というもので定められている手帳なのですが、これの基準などは地域によっても様々です。また、手帳の名前が違う地域もあるので注意が必要。

「愛の手帳」や「みどりの手帳」と呼ばれている地域もあるので、小児科や市役所の福祉課、子ども課で話を聞いてみましょう。

法律 無し。
地方自治体で決められている制度があり、全国一律の基準がない。
対象疾患 発達障害、知的障害など
取得条件 知的障害があると診断されること。
※児童相談所や知的障害者構成相談所などで診断を受けられます。

精神障害者保健福祉手帳とは

社会生活や日常生活を送る際に制約がある人に対して、支援や自立を目的として交付される手帳です。申請は、都道府県知事、もしくは指定都市市長に出します。

1級から3級までの等級に分かれており、2年ごとに更新作業が必要となります。診断書がなければ交付されない手帳で、更新するためにも新しい診断書が必要です。

法律 精神保健福祉法
対象疾患 統合失調症、うつ病、そううつ病などの気分障害、てんかん、薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症、高次脳機能障害、発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)、その他の精神疾患(ストレス関連障害等)
発達障害:広義の「発達障害」
取得条件 精神疾患、および発達障害があるために生活に支障をきたしていること。

各種障害者手帳を取得するメリット

障害者手帳を持つこともメリット

障害者手帳(療育手帳)を取得することによって、発達障害を抱えている本人、その親が生活しやすいように様々なサポートが受けられます。お子さんが発達障害を抱えている場合、療育手帳の申請をしてみましょう。

身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳を取得しているメリット

身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳を取得していると、様々な公的サービスを受けることが出来ます。また、等級によっても受けられるサービスが違うので、気になる方は自治体で確認しましょう。

特別支援学校への入学

発達障害を抱えている方は、学校へ上がるタイミングで大きな決断を迫られます。それが、通常の学校へ通うか、特別支援学校へ通うかの選択。

特別支援学校というのは、主に知的障害を抱えている方向けの学校。小学校や中学校の勉強についていけない場合、特別支援学校でその子に合わせたペースで学習を進めてくれます。

通常の学校ではカリキュラムも決められており、全員で同じ授業を同じように受け、同じようにテストを通っていきますよね。でも特別支援学校では一人一人の教育ニーズにフォーカスした授業を行ってくれるので、発達障害を抱えていたとしてもマイペースに学習を進められます。

といっても、希望すれば誰でも特別支援学校へ入学できるわけではありません。そんなときに療育手帳を持っていると、入学のハードルが下がります。

入学できる基準については地方、学校によって様々なのですが、療育手帳の階級によって区別されているようです。

障害者枠での就職が可能

発達障害を抱えていると、どうしても就職が難しくなります。息子もそうですが、自分が興味のないことに対しては一切やる気を見せないので、会社で働く社会人としては適していないでしょう。

といっても、生活するためにはお金が必要ですし、お金を稼ぐためには働く必要があります。

そんなとき、企業によっては「障害者枠」という特別枠を設けた採用が行われています。障害を抱えている方でも健康に働けるような採用枠が特別に作られているんです。

障害者の場合、他の人よりも出来る事・出来ない事の差が激しいので、一般採用で働き出すのは難しいでしょう。障害者枠で採用されると、そういった不得意分野がある人でも働ける環境が準備されます。

療育手帳を持っていると、障害者枠での就職も可能となるので、社会人になってからもメリットを感じるのではないでしょうか。

障害者年金を申請できる

発達障害を抱えている方は、他の人と同じように働いて年金を収めることが難しくなります。しかし、歳を重ねると、やはり年金が必要な状態になるでしょう。

そこで障害を抱えている方に対しては、障害者年金という別枠の年金が設けられています。障害手帳を取得していると、こういった少し変わった年金を受給することも可能となります。

医療費の助成が受けられる

中学生までの医療費が無料になる地域もあるほど、医療費に対するサポートはここ最近手厚くなってきています。さらに、障害者手帳を持っていると18歳以上になっても医療費の助成を受けることができます。

医療費の負担が1割で済む

指定の医療機関であれば、医療費の負担は1割で済みます。通常は保険を使っても3割負担ですが、これが1割になるのは大きな違いですね。

所得税、住民税、自動車税などの税金が軽減される

給与を受け取る人は所得税を支払い、住所を持つ人は住民税を支払い、自動車を保有する人は自動車税を払う…。と日本は何でも税金がかかる国です。

しかし、障害者手帳を持っていれば各種税金に対して一定の控除を受けることができます。これは障害者手帳の等級によって金額が変動するので注意が必要です。

精神障害者保健福祉手帳を控除対象配偶者や扶養家族が持っている場合にも税金の控除を受けることが可能となります。障害者1級を持っている方と同居している場合、年末調整か確定申告で申請することで配偶者控除・扶養控除に加算があります。

療育手帳を取得するメリット

療育手帳は身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳とは違い、法律的に決められているものではありません。法律的に決められてはいないのですが、療育手帳でも様々な手当を受けることが出来ます。

特別児童扶養手当が受けられる

医師の診断書と合わせて提出することで、特別児童扶養手当が受けられます。

1級の場合は月額51,500円、2級の場合は月額34,300円の手当が受けられます。毎月これだけの手当がもらえるのはかなり大きいですね。

障害児福祉手当が受けられる

申請することで、月額14,600円の手当を受けることが出来ます。

特別障害者手当が受けられる

申請することで、月額26,830円の手当を受けることが出来ます。

心身障害者福祉手当、重度心身障害者手当が受けられる

これは自治体によって金額にも差が出るのですが、月額2,000円〜15,000円の手当を受けることが出来ます。

障害者手帳を取得するデメリット

障害者手帳をもつデメリット

障害者手帳を取得することに対して、デメリットというものはありません。持っているからといって、特別何かを申請しなければいけないシーンはありません。基本的には、取得すれば本人に負担のかかるようなシーンで、少し有効に働くものが手帳です。

一つだけデメリットとすると、発達障害を抱えていても「自分が発達障害だと認めたくない」人もいるでしょう。それは子供でも同じだと思います。

そういったときに障害者手帳(療育手帳)を支給されると、「あなたには障害がある」と宣告されているようでショックを感じるケースがあるかもしれませんね。その辺りは保護者の方が寄り添って説明してあげなければいけません。

各種障害者手帳の申請方法

障害者手帳の申請方法
  • 身体障害者手帳
  • 療育手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳

と3つの障害者手帳がありますが、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳と、療育手帳では取得する方法が異なります。

身体障害者手帳と精神障害者保健福祉手帳の申請方法

この2つの手帳を申請するためには、指定医の診断書が必要です。診断書にも専用のフォーマットがあるので、各市町村の障害福祉窓口で申請フォーマットの診断書をもらいましょう。

指定医に診察してもらい、診断書・意見書を取得できたら、本人確認ができる書類と合わせて障害福祉窓口まで持っていきましょう。そのときに、精神障害者保健福祉手帳を申請する場合はマイナンバーも用意する必要があります。

また持って行くときにはスムーズに登録が進むように縦4cm、横3cmで撮影した本人の証明写真を持っていきましょう。

代理人による申請も可能と思われますが、委任状や代理人の本人確認書類が必要となります。この点は、各自治体の障害福祉窓口へ確認しましょう。

身体障害者手帳は通常だと1ヶ月ほどで発行されますが、精神障害者保健福祉手帳は申請から2ヶ月ほどかかるケースがあります。

申請先 市区町村の障害福祉窓口
必要物 指定医の診断書、意見書
本人を確認できる書類
証明写真(縦4cm×横3cm)
マイナンバー

療育手帳の申請方法

療育手帳の申請に関しては、各自治体によって方法が違うこともあるので、まずは自治体の障害福祉担当窓口まで行きましょう。そこで説明してもらえます。

療育手帳を申請するときには、まず自治体へ面談予約の相談を行います。すると、専門家との面談がセッティングされるので、実際に面談やテストを行います。

面談やテストの結果、療育手帳の申請が通ると家に通知が届くので、その通知を持って各自治体の障害者福祉窓口へ行きましょう。必要書類なども連絡されるので、書類を忘れずに。

申請先 市区町村の障害福祉窓口
必要物 各自治体によって異なる。

発達障害でも療育手帳の申請を行うべき

発達障害の認定を受けた時、どうしても親としては

私の子が障害を抱えている…!?これからどうすればいいの!?

とショックを受けてしまうかもしれません。僕の場合はそうでした。発達障害を疑っていながらも、いざ本当に認定を受けるとその事実をなかなか飲み込めなかったんです。

そんなタイミングで障害者手帳の話をされても、最初はなかなか気持ちが進まないでしょう。”障害者手帳”という響きに一歩引いてしまうパパ、ママも多いですよね。

でも、ちゃんと診断を受けて手帳を取得できれば、お子さんも生活が楽になりますし、親としても手当をもらえたりサポートが手厚くなるので、子供のサポートに集中することが出来ます。

そのため、もし発達障害の認定を受けているのであれば、しっかりと病院や自治体で障害者手帳の相談へ行き、忘れずに申請手続きを行いましょう。

世界18の国と地域で展開している七田教室の英会話教材



子供の発達が気になっている親御さんは多いでしょう。「発達障害なのかな?」と心配になったり、中にはお子さんが発達障害を抱えており教育に不安を抱えている方もおられるはず。僕の息子も発達障害(ASD)を抱えているので、今後の教育に関してとても不安を抱えています。

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